盗まれた記憶の博物館

2012年 あすなろ書房発行 ラルフ・イーザウ『盗まれた記憶の博物館』


盗まれた記憶の博物館 (上)


盗まれた記憶の博物館 (下)

消えた父親

コンピュータの才能を持つジェシカと芸術の才能をもつオリバー。
14歳の双子の姉弟の家に、ある日警察がやってきました。

すぐに自分の世界に入ってしまうオリバーがまた何かやらかしてしまったのだろうか?
ジェシカは姉として何とかすることを決意します。

ところが警察が探していたのは「トーマス・ポロック」。二人ともそんな人はしらない。人違い?
ジェシカはほっとしてそう伝えますが、警部は怒りだしました。

ガルス警部は、かんかんに怒っていた。
「大人ぶったかと思えば、こんどはおふざけか?いいだろう。もう遊びは終わりだ。おれのやり方でやらせてもらう。トーマス・ポロック、おまえらが名前も忘れたという男、そいつは、おまえらの父親だ!」

2002年 あすなろ書房発行 ラルフ・イーザウ『盗まれた記憶の博物館 <上>』P12より

よく考えれば子供だけで家に住んでいたはずがありません。しかしやはり二人に父親の記憶はありません。そして二人は自分たちの記憶の空白に気づきます。

父親の手がかりを探すうちに浮かび上がる古代の門。

ジェシカは現実世界から、オリバーは失われた記憶の国クワシニアから謎を追っていきます。

オリバー

父親の手がかりを探してイシュタル門をくぐったオリバーは、失われた記憶の国クワシニアへたどり着きます。
そこは忘れられたものたちが生きる国。しかし、今は戻ってきた暴君に支配されていました。

オリバーは生きたガラスの小鳥のニッピ―、古代の哲学者エレウキデスなど、不思議な仲間と出会います。
彼らの手を借り、オリバーは父親を見つけ出して元の世界に帰ることができるのでしょうか?恐ろしい暴君に支配されるクワシニアの運命は?

 

オリバーの冒険は仲間たちが本当に個性的です。
ガラスの小鳥に外套、哲学者にペガサスに筆、と普通の物語ではなかなか仲間にならなそうなメンバーです。

彼らが彼らにしかできない方法で活躍するときはとてもわくわくします。

ジェシカ

父親に続き、弟の記憶まで消えてしまったジェシカ。

博物館の学芸員であるミリアムの助けを借り、2人が残した手がかりをもとに調査していきます。

 

こちらは何と言ってもジェシカとミリアムのコンビが素敵です。

暗号やコンピュータに強いジェシカと考古学が専門のミリアム。
ちなみにジェシカは考古学に詳しくなく、ミリアムはコンピュータが苦手。

二人とも専門分野の時にはかっこよく活躍し、時に相手の専門分野の話について行けずにたじたじになる様子は可愛らしいです。

ミリアムの方がお姉さんという感じではあるものの、基本的にはお互いを認め合って対等な友人という感じ。息のあった会話は姉妹のようです。

まとめ

この物語の魅力は出てくる仲間たちがみんな個性的で、それぞれの個性を活かした活躍で物語が進んでいくところだと思います。
まるでジグソーパズルのように、彼らの個性が絡み合って、生き生きとした物語を作り上げています。

興味を持ってくださった方は、是非、読んでみてください。


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